The Crash Motive『Consequence』(2007)
アメリカ・デラウエア州出身のバンドがリリースした、(この名義では)1作目となるアルバム。Wind-Up Recordsから2007年の10月にリリースされた。
このバンドに関しては日本語の記事がまるで見当たらず、非常に失礼ながら売れなかったのだろうと考えていたのだが、どうやらそうでもないらしい。というのも、『ファンタスティック・フォー』という映画のサントラに採用されているのだ(そのときは名義が異なり、Omnisoulとして活動していたそうだが……)。さらに言えば、アメフトのゲーム『Madden NFL 07』のサントラにも『Not Giving Up』が収録されている。
そんな感じで、かなりちゃんと活躍していたバンドなのである。
全体としてはメロディアスなロックで、ガツンとしたインパクトよりジワジワと効いてくる感じ。オルタナっぽい感触もあって、新しさを感じさせながら同時にどことなくノスタルジックな気分にさせてくる。
Linkin Parkからの影響が大きいか? 彼らの初期2作で聴かれるような仄暗さがところどころに見て取れる。アルバム5曲目『Live Like Your Last Day』などは顕著だ。
イチオシ曲は『Not Giving Up』『Believe It』の2曲。前者はイントロのグルーヴィーなドラムから引き込まれるノリのいいロックナンバーで、後者は必殺のバラードチューン。特に後者は祈り縋るような歌声が印象的で、ストリングスやピアノの冷たい響きも相まってどこまでもじっとりと染み込んでくる。
残念ながらこのバンドの音源で現状入手可能なものはこれしかなかった。Omnisoul時代に自主製作のアルバム『Happy Outside』をリリース、今回記事にした『Consequence』の翌年にもEPを1枚リリースしているようなのだが、購入の目途はたっていない。このアルバムだけはサブスクにもあるので、是非聴いてほしい。(ジャケットがなぜかCD版から差し替えられて、面白みのないバンドメンバーの写真になってしまっているのが気に食わないが……)
ちなみに『Not Giving Up』はMVがあって、CD版のジャケットに映っている犬が大暴れするシュールでコミカルな一本だ。下にSpotifyのアルバムのリンクと共に貼っておくので、一度そちらも見てみてほしい。